1999年10月8日 No.88

 交差点を行き交う人、車、街の風景を映し出す、よく磨かれた鏡のようなカバー。汚れたガスの通り道とは思えないほどの、輝く排気管、鈍く光る黒いスプリング。社名だけが空しく残る某証券会社のビル、決してきれいとは言えないその壁際に律儀に止められた、恰幅の良いクラシカルなバイクに、オーナーが跨れば、誇らしげな排気音を静かに響かせ、きっと海を行くように悠然と走るのだろう。

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