向こう三軒両隣の彼方、お屋敷の大木から、その花びらはやって来た。
 駐輪場の片隅、傾き始めた陽射し照らす、雑草にも似た緑の苔の上。猫の額ほどのその舞台で、風がそよぐ度、 踊り手達はひらひらと配置を変え、今し方一旦のフィナーレを迎えたようだ。
 咲く花も散る花も愛でられ、幸せかな、さくら。

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