箇条書き的私生活の忘れ物
〜「カルメン」とヤナーチェックの「イエヌーファ」 〜

 
 *最近の出来事*の忘れ物 三角帽子の仕上がりは如何?@48卒野村です。長文ご容赦! 新国立劇場にて、プラハ国民歌劇場の引越し公演 「カルメン」とヤナーチェックの「イエヌーファ」を見る。 「カルメン」はすでに志望、ホセは収監されている。 ざわざわした会場の雰囲気を一変させる刑務官の容赦ない呼子の笛、指令に従い指揮者登場、前奏曲開始、そこは、たばこ工場の昼休みでもなんでもなく、そこは刑務所の庭に囚人多数・・・カルメンはなんと坊主(女性ではあります)、死んでいるので、はだし・・・・・2幕の酒場、もいろん刑務所での慰安会の様相を呈するので、粗末な舞台で、どぎつい衣装の踊り子がストリップショー。
 ときどき、何の脈絡もなく、3人のバレリーナが、天使となって登場、「これは全部、幻影なんですよお」といいたげに。踊り子はというと、最後にかつらをとると実は男。闘牛場の前のラストに向かうシーンのみ、エスカミーリョの前では、カルメンかつらで妖艶。ホセカルメンを殺し大団円。音楽がやむと、3人の銃殺舞台が客席を背にしたホセを銃殺。とまあ、驚くべき諧謔 改題でした。こんなん考えてしまうのも前世紀末からのカフカ、ココシュカの流れを汲むチェコプラハの伝統的演劇文化でしょうか?しかし、肝心の歌は、合唱の重厚さはすごい!でも、なんとなくイワノフの「イーゴリ公」の合唱のようになるきわめて、スラブ的な合唱でありました。独唱陣はぜんぜん声出ていなくて、指揮者とオケものってなくて困りものでした。
 「イエヌーファ」はその翌日、同じ指揮者同じオケ、打って変わって堂々としたヤナーチェクが愛国的オペラを作りましたといいたげに、胸をはって演奏。放蕩ものの兄まじめな弟と、その間に入った美しい女性が兄の子供を出産、事実を隠蔽するために、聖職者の叔母が、その子供を、殺してしまうという、ほとほと救いようのない暗い話を、愛国的な興奮で包む。
 おそらくこれが、プラハで見ると、熱狂するのでしょう。ところが、東京では、ストーリーの暗さのせいで、観客は熱狂まではほど遠し。愛国的なチェコと非愛国的な日本の差がありすぎるために、ここまで前向きに愛国主義礼賛をされると、「それについていけるチェコの国民はすごいな」とか思えてしまう。なんとなくですが、深沢七郎の「楢山節考」を面と 向かって堂々と自分たちのルーツだみたいにメトでやるとこうなるのではないかと思えるような不思議な気恥ずかしさがあり。金管アンサンブルが出てくると、シンフォニエッタ節 なるも、あとは、さらにどろくさくなったスメタナみたい。音楽の重厚さには関心しつつ、いまいち入り込めず、無念。

Date: Sat, 6 Nov 1999 14:05:06 +0900
Subject: [seiryo:03665] 箇条書き的私生活の忘れ物