1999年10月14日 No.91

 往時はきっと真っ白で堅固な姿を見せていたのだろう、鄙びた道に寄り添うように続く土塀、その細長い屋根にからむ枯れた葛(かずら)の影を薄く映し出し、茜色に染まり始めている。東大寺の境内、大仏殿の裏を通り、二月堂へと上る緩やかな坂道、筆者の好きな道でもある。

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